ベトナムのローカル診療所で狂犬病ワクチンを打った話
ベトナムで散歩中、犬に噛まれたのでローカル診療所で狂犬病ワクチンを打ちました。
ベトナムは狂犬病の危険が多い
日本で生活していると「犬に噛まれる」というイベントが発生することは極めて稀ですが、ベトナムでは非常に身近な現象です。
農業農村開発省獣医局によると、2015年に犬に噛まれてワクチン接種を受けた人の数は全国で39万4000人に上るという。平均して1日当たり1079人が噛まれた計算になる。
【ベトジョー ベトナムニュース(2016/03/16)より引用】
「ワクチン接種を受けた人の数」なので犬に噛まれた人数はもっと多いということになりますね。
なぜこんなに犬害が多いか、理由ははっきりしています。
犬をひもで繋ぐ習慣がほとんど無いのです。
小型犬ならともかく、大型犬でも平気で放し飼いにしています。
また、番犬として飼っていることが多いため、多少の狂暴性は矯正せずに育てることが多いようです。
田舎だけかと思いきや、ホーチミンの中心部でも公園で犬が走り回っています。
犬三頭に囲まれた
先日、地方都市の郊外を散歩していたら、どこからか大型犬三頭が現れ、一瞬にして三角形フォーメーションで囲まれました。
「あ、これヤバいな」
と思った次の瞬間には後ろから足首をガブリとやられました。
幸い、一噛みしたあとはフォーメーションを解いて逃がしてもらえたのでそれ以上のダメージは受けませんでしたが、血が出るレベルの傷を負いました。
これはWHOの区分ではカテゴリー3であり、「迅速な狂犬病ワクチン接種が必要」かつ「狂犬病免疫グロブリン投与が推奨」という非常事態です。
I:触れる, 餌付けをする, 健康な皮膚を舐められる, II:保護されていない皮膚の甘噛み(原文nibble), 出血のない小さな擦り傷, III:単一もしくは複数の皮下におよぶ咬傷・擦過傷, 舐められることによる粘膜や損傷皮膚の唾液による汚染, コウモリとの直接的な接触(深刻な曝露)
【NIID国立感染症研究所より引用】
ローカル診療所へ
狂犬病は発症すると死亡率100%なので、すぐに最寄りの診療所で狂犬病ワクチン(Abhayrab)を打ってもらいました。
ごちゃごちゃしていてかなり不安になりますが、たぶん大丈夫でしょう。
ちなみにベトナム語しか通じません。
狂犬病ワクチンの費用
料金は19万6000VND(955円)でした。日本人にとっては激安ですが、平均月収553万VND(26,836円)のベトナムの庶民にはそこそこ痛い出費かもしれません。
狂犬病ワクチンは合計5回打つので、合計費用は×5になります。
絶対必要ではないが推奨される狂犬病免疫グロブリンはこの診療所にはなかったので、翌日ホーチミンに移動して外資系クリニックで受けました。
料金は300万VND(14,568円)でした。これは狂犬病免疫グロブリンが高いのではなく、外資系クリニックだから高い料金設定になっているようです。
このクリニックでは狂犬病ワクチン(Abhayrab)も1回250万VND(12,125円)だそうです。
無保険ならローカル診療所がオススメ
保険有りなら英語や日本語の通じる大手や外資系クリニックが良いでしょう。無保険なら、圧倒的安さのローカル診療所がオススメです。
破傷風ワクチンは不要か
犬に噛まれた場合、破傷風ワクチン接種も推奨されるようですが、私は下記の記事を見て不要と判断しました。
感染リスクの高い職種における破傷風ワクチンの追加接種回数
TTの免疫率の推移(図1)を見ると,免疫保有基準の0.01IU/mLでは,DPT・DT世代は常に90~95%を維持している。
【日本医事新報社https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=3661より】
要するに40代未満であれば、子供のころ破傷風予防接種を受けているので、免疫を保有している可能性が高いということです。
もっとも、私が免疫を保有していない5~10%に該当する可能性もありますが、まあ大丈夫だろうということにしました。
狂犬病と違って死亡率100%ではないし。
※自己責任で判断してください。
もう犬には近づかない
犬はかなり好きなんですが、今後ベトナムの犬には極力近づかず、地方都市や郊外を散歩するときは細心の注意を払うようにします。
皆さんもベトナムでは野犬や放し飼いの犬に充分注意してください。
▼ベトナムでデング熱になって入院した時の話はこちら。
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