ベトナムでデング熱になって入院したときの治療費・日数
ベトナムではデング熱が珍しい病気ではありません。
私も以前感染して入院しましたので、注意喚起のためここに記します。
デング熱とは
デング熱は蚊が媒介するデングウイルスによる感染症です。
比較的軽症の「デング熱」と重症の「デング出血熱」がありますが、東南アジアはその両方が発生する地域です。
国立感染研究所より
ベトナムのデング熱
厚生労働省検疫所によると、ベトナムでは2017年、デング熱患者が184,741人(死亡32人)報告されたそうです。
単純にベトナムの人口(9370万人)で割ると507人に1人はデング熱に感染した計算になります。
しかしこれは
「報告された患者数」
であり、貧困層は病院に行かないことを考えると、実際の感染者数はさらに多いと考えられます。
仮に人口の25%が病院に行かないものとして計算すると、デング熱感染者率は380人に1人となります。
これは5年間ベトナムに滞在すると1.3%の確率でデング熱に感染するということになり、無視できない数値と言えます。
ベトナムでデング熱になった経過記録
場所:ベトナム第4都市ハイフォン
年月:2016年9月
体がだるく、食欲がなくなる。無理に食べようとすると吐き気がするので、ヨーグルトとコーラでカロリーを摂取。
風邪だと思い込んでいたため、数日で治ると考え、病院に行く気は一切なし。
この時点でもまだ風邪だと思っているが、空腹でめまいがして失神しそうになったので、タクシーでハイフォンインターナショナルホスピタルへ。
ここは日本語通訳(ベトナム人女性)が常勤している。
検温・採血・レントゲン撮影をし、まだ結果が出ないうちに日本語通訳から
「熱があるので、とりあえず入院してください」
と告げられる。
どうやら金が有りそうな患者は病状に関わらず極力入院させる方針のようだ。
大部屋は一泊10万ドン、個室は一泊25万ドンだが、どのみち保険で支払われるので個室を選択。
ちなみに私は日本も含めて人生初めての入院である。
個室に案内されてベッドを見ると、シーツに髪の毛が付着していた。
恐らく前の患者が使ったシーツがそのままになっていたのだろう。
看護師がすぐにシーツを取り替えてくれたが、髪の毛が付着していなかったら気付かずそのまま寝ていたかと思うと恐ろしい。
ベッドで横になって30分ほどした頃、看護師が検査結果を携えてきた。
そこで見せられた
「Dengue fever」
という単語をGoogle検索してようやく自分が風邪ではなくデング熱だということを知り驚く。
デング熱になった人の体験談を読むと、
「死ぬほど苦しい」
というようなことを書いている人も結構いるが、私の場合それほどでもなく、ちょっと重めの風邪ぐらいの感覚だったので、この時までデング熱とは可能性すら考えなかった。
この日から毎日8時間点滴を受ける。
この病院はインターナショナルホスピタルと名乗る割には看護師は全員英語ができない。
女性看護師は上下いわゆるナース服だが、男性看護師は上だけ制服で下は私服のズボン。
ジーパンを穿いている看護師もいて、ちゃんと毎日洗っているのか疑わしい。
患者も9割以上ベトナム人のようだし、国際病院というよりはむしろローカル医院の雰囲気が強い。
食事は食堂フロアがあって、1食ごとに自分でそこで買うシステム。
そこで売っている料理は、町中の安食堂をそのまま持ってきたようなラインナップ。
すなわち、フォー・揚春巻・煮魚・空心菜等々。
北部なので芋虫のパリパリ炒めもある。
べトナムでは「病人食」という概念がないのか、これらの料理に「病人が食べやすいように薄味にする」等の配慮は一切なされていない。
健康時なら大抵の物は食べられる私でも、デング熱で弱っている状態ではフォーの匂いを嗅いだだけで吐き気を催す。
仕方なく、果物・ヨーグルト・豆乳等で腹を満たした。
入院初日以来3日ぶりに日本語通訳が顔を見せた。
「何か困ったことはありますか」
と聞くので
「今はベトナム料理が食べられません。日本料理なら食べられるかもしれません」
と言うと
「じゃあ、近くの日本料理屋で弁当を頼みましょう」
と提案された。
そんな選択肢があるのか! 早く教えてほしかった。
「食べやすいものがいいでしょうから…唐揚弁当はどうですか?」
全然食べやすくないやろ、と思いつつも
「それでお願いします!」
と即答し注文してもらった。
15万ドン(698円)で、日本だったら二度は食べないレベルのクオリティだが、それでも日本の味は再現してありペロリとたいらげた。
結局退院までほぼ毎日この店で弁当を注文した。
未払い入院費が溜まってきたので、ここらで払えと会計部から指令。
払うのはいいが、混雑する窓口まで行って支払うシステム。
だいぶ治ってきたとはいえ、病人にこの仕打ちは非道。
明らかに体調は良くなっている。
医師が言うにはほとんど治りかけているが、血中のなんやらの数値が完全ではないので、もう数日入院を続けるとのこと。
退院。
しかし領収書をめぐって一悶着。
「入院費」の領収書は貰ったが、初日に検査を受けて支払いをした時に「検査費」の領収書を貰っていなかった。
通訳の人に調べてもらったが、1時間ほど待たされたあげく、
「なんか領収書出ないみたいなので…領収書無しで良いですか?」
と言う。
良いわけがない。
検査費は228万ドン(10,604円)かかっている。
通訳氏は次の仕事があるらしく、明らかに早く切り上げたがっていたが、領収書がどうしても必要であると食い下がるとようやく
「後日連絡します」
ということになった。
通訳氏から
「領収書が発行されました」
と連絡があり、再び病院へ行き無事領収書の受け取りが完了。
治療費用
検査費:228万ドン(10,604円)
入院費:1006万ドン(46,790円)
合計:1234万ドン(57,394円)
楽天カード付帯の海外旅行保険で満額支払われました。
まとめ
発症から完治まで12日間、治療費は57,394円でした。
私の場合症状が比較的軽かったこともあり、デング熱よりもベトナム病院特有のあれやこれやのほうが印象に残りました。
病院までのタクシー代も保険の対象となるので多少無理してもハノイまで行って外資系病院に入院するべきでした。
上述した通り、デング熱はベトナムでは極めてポピュラーな病気ですので、虫除けスプレーや蚊帳などで蚊対策を十分に講じることをお勧めします。
