金利8%のミャンマーの銀行で口座開設~ミャンマー経済のヤバすぎる現状をベトナムと比較

2019年12月15日

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ミャンマーでの外国人の銀行口座開設について、銀行支店に行って聞いてきました。

結論から言うと、外国人観光客でも開設できます。

しかしベトナムドン預金と違ってミャンマーチャット預金では高い利回りは期待できそうにないので、リターン狙いの方は開設しないほうが良いでしょう。

ミャンマーでも外国人が銀行口座開設できる

ミャンマー最大手のKBZ Bankカロー支店で聞いてみたところ、外国人も普通に口座開設できるとのことでした。

面倒な書類は必要なく、パスポートだけで持っていけばOKです。

私も記念に口座開設を試みましたが、バカ正直に

「住所は○○ホテルです。あと2日しかそこにいません」

と言ったところ、

「短期滞在はダメです」

と断られてしまいました。

そもそも外国人客を相手にするのがめんどくさそうだったので、理由をつけて断られた感があります。

マンダレーかヤンゴンで、なおかつ下手なことを言わなければ口座開設成功したはずです。

銀行によっては外国人は金利なし口座

CB Bankでは開設できるのは外国人用口座のみで、金利がつかないそうです。

他の銀行については未調査ですが、開設時に確認した方が良いでしょう。

ミャンマーの銀行金利

KBZ Bankの金利は8%です。

ミャンマー預金の予想利回り

米ドルベースでの予想利回りは0%です。

はい、ゼロです。

ベトナムドン預金は実績利回り5%以上出ていますが、ミャンマーチャット預金は期待できません。

ミャンマーの通貨であるミャンマーチャットはここ5年で37%下落しています。

計算上、金利9.75%の複利でようやくトントンです。

ミャンマー経済の現状を鑑みると、名目金利8%程度ではプラスリターンにはならないだろうと思います。

ミャンマー経済の問題点

ミャンマーは「ASEAN最後のフロンティア」なんて言われたりもしますが、調べれば調べるほど「フロンティアすぎて投資対象にならない」と感じます。

以下、ミャンマー経済の問題点をまとめました。

発電設備が未整備

「地方都市に行くと1日の半分ぐらい停電する」はミャンマーあるあるです。

データ上でも発電能力の貧弱さは如実に表れています。

▼発電設備容量
ミャンマー 539万kW:人口5225万人
ベトナム 4,214万kW:人口9269万人
【一般社団法人海外電力調査会「各国の電気事業」より】

発電設備容量はベトナムの約8分の1、国民一人当たりのkW数でもベトナムの4分の1以下です。

ロヒンギャ問題

ロヒンギャ難民問題に関して人権意識の高い欧米でミャンマー批判が高まっており、経済制裁への懸念などから欧米企業による直接投資が減少しています。

また、農業従事者が多いロヒンギャ族が多数国外に流出したことで、放棄された農地が荒廃しコメなどの農作物生産が減少しています。

ビジネスのしやすさランキング

世界銀行が発表している「Ease of Doing Business Rank(ビジネスのしやすさランキング)」というものがあります。

これはビジネスをするにあたって掛かる時間や費用を数値化したランキングです。

▼ビジネスのしやすさ世界ランキング
ベトナム  69位
ミャンマー171位

ミャンマーはイラクと同順位でASEANではぶっちぎりの最下位という低評価です。

対内直接投資の少なさ

ミャンマーの対内直接投資は近年増加傾向とはいえ、相対的に低水準に留まっています。

▼対内直接投資(2018年)
ベトナム  191億ドル
ミャンマー 36億ドル

※ベトナムは実行額、ミャンマーは認可額

前述したような問題から、直接投資に二の足を踏む国外企業が多いとみられます。

ドルベースでは成長率2%未満

それでもミャンマーは近年高い経済成長率を維持(2018年は減速)し、GDPは2011年以降で1.5倍に増加、年率成長率は6.47%に上ります。

このデータだけを見るとミャンマーは順調に経済成長してきたかのように見えます。

ところがこの経済成長率というものは現地通貨ベースで算出されています。

米ドルベースでみると、2011年以降のGDP増加率はわずか14%、年率では1.93%に過ぎません。

同期間での平均成長率(米ドルベース)8.69%を記録したベトナムとは対照的です。

▼2011年以降のGDP平均成長率(米ドルベース)
ベトナム 8.69%
ミャンマー1.93%

ミャンマーチャットは慢性的に下落

米ドルベースGDPが伸び悩む理由は慢性的に下落するミャンマーチャットです。

チャットの対米ドルレートはここ5年で37%と大幅に下落しています。

弱いチャットの原因として以下の点などが挙げられます。

1. 原材料のほとんどを輸入で調達しているため、貿易赤字になりやすい。
2. 輸入時には米ドルで決済されるが、輸出時に得る人民元はチャットに両替されない場合が多い。

ちなみにベトナムドンはここ5年で約9%の下落に留まっています。

▼ここ5年の対ドル為替下落率
ベトナム 9%
ミャンマー37%

ミャンマー経済の問題解決は困難

上記の問題はいずれも数年やそこらでの解消は困難です。

電力問題だけ見ても、ベトナム並に整備するためには発電容量を現状の4倍以上に増強しなくてはいけないということですから、一体何年掛かるのか検討もつきません。

よって、今後もしばらくはミャンマー経済の構造に大きな変化はなく、

「経済成長の大部分を通貨下落が相殺してしまう」

という状況が続くと予想します。

まとめ

銀行金利8%台という点はベトナムと同じですが、本記事で示した通り、両国の経済状況やインフラ環境は全く異なります。

ベトナムはおおむね順調に経済成長してきたので、ここ20年ほどでベトナムドン預金の利回り(米ドルベース)は年率6%近い数字になっています。

参考▶もし2000年に資金1000万円でベトナム金利生活を始めていたら、現在資産額はいくらになっていたか

一方のミャンマーは前述の通り問題山積みであり、チャットの下落幅はベトナムドンのそれを大きく上回ります。

よく「高金利通貨は通貨下落で利回りマイナスになる」とかざっくりとひと括りにして言っちゃう人がいますが、いかに愚かなことかおわかり頂けるかと思います。

各国で状況が全く違うので、利回りプラスになる通貨もあればマイナスになる通貨もあります。

参考▶有名ブログ「外貨の高金利は通貨安で相殺される」←必ずしもそうではない。フラジャイル5で検証しました。

ミャンマーは今回旅行してみて大好きな国になりました。

ASEANトップクラスに親切な人々、安くて美味しいミャンマー飯、コスパが良い宿等々…。

旅行先として訪れるには本当に素晴らしい国ですが、それはそれ。

国全体として見るとまだまだ未整備、未発展な部分が多すぎて投資対象としては難しいという評価にならざるを得ません。

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参考文献
⚫みずほ総合研究所「ミャンマー経済の減速理由は何か」2018年12月20日
⚫大和総研グループ「ミャンマー経済の現状 チャット減価圧力続く」2018年8月30日

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自己紹介宮内健吾Ⓐ、29歳の時に資産たったの1500万円でセミリタイア。

少々の労働収入と投資収入でベトナム生活を満喫していたところ、コロナ禍で仕事を失い暗転。

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