立憲・江田憲司の「株式課税は30%が国際水準」発言は間違い
立憲民主党の江田憲司代表代行が「NISAにも30%の税金をかける」と発言して話題になっています。
問題の発言
先日、フジテレビの番組で江田憲司氏は以下の発言をしました。
司会「NISAとかで低所得者や中所得者が少額で積み立てている株式運用にも同じようにかけるんですか?」
江田「同じようにかけます。ヨーロッパとかアメリカを見ると大体30%なんです。だから過大なことを言ってるんじゃないですよ。」
▼4分30秒あたりから
BSフジLIVE プライムニュース
さすがにNISAからも徴税するというのはぶっ飛びすぎて、何かの勘違いじゃないかと思いますが、私がそれよりもまず気になったのは
「ヨーロッパとかアメリカを見ると大体30%なんです」
という部分です。
「欧米ってそんなに株式運用の税金高かったっけ?」と疑問に思ったので調べてみました。
主要国の株式に関する課税
株式に関する主要国の課税について、財務省がまとめてくれていました。
※2019年1月のデータ。
主要国の株式譲渡益課税の概要より。
これを見る限りでは、等しく30%以上徴収される国はありません。
✔ 米国: 連邦税0~20% + 州・地方政府税(10%以下)
✔ イギリス: 10%又は20%
✔ ドイツ: 26.375%
✔ フランス: 分離課税30%又は総合課税17.2~62.2%
江田氏の「ヨーロッパとかアメリカを見ると大体30%」という発言は間違いであることがわかりました。
米国での株式譲渡益課税
米国では収入のみならず居住地や保有期間によって売却益にかかる税金が変わります。
一般的な米国人が株式売却益に対して払う税金はどの程度なのか調べてみました。
▼面倒な計算を自動でやってくれる便利サイトがあります。
CAPITAL GAINS TAX CALCULATOR
下記の条件で株式売却益にかかる税金を計算しました。
✔ 株式譲渡益: 10,000ドル
✔ 保有期間: 1年以上
✔ 配偶者: 有り
✔ 居住地: サンフランシスコ
その結果、支払う税金は451ドルと出ました。
わずか4.51%です。
貧乏人にも一律20.315%を課す日本とは大きく異なります。
最近、日本の政治家はバイデン大統領に便乗してキャピタルゲイン増税をしようとする動きを見せていますが、バイデン大統領がやろうとしているのはあくまでも富裕層への増税であって、日本のように低所得者も1億円プレイヤーも一律に課税するという愚策とは全く違います。
ベトナムでの株式譲渡益課税
ベトナムでは損益に関係なく、売却金額の0.1%が徴収されます。
損切り時にも取られる代わりにどれだけ利益があっても0.1%のみです。
ベトナム政府は株式投資を普及させる方針なので、今後もしばらくはキャピタルゲイン税を上げることはしないでしょう。
関連記事▶ASEANの中でベトナム株の推移だけ異常
まとめ
✔ 江田氏の発言「ヨーロッパやアメリカの株式譲渡益課税は大体30%」は真実とは言えない
✔ 米国のキャピタルゲイン税は非常に安い
追記
江田氏はNISAに関しての発言を撤回したようです。
NISAにも課税する-。
立憲民主党・江田憲司代表代行の発言を巡り、江田氏だけではなく枝野代表や同党の関係者が謝罪や釈明に追われた。https://t.co/SNLiLp0tX3
— ブルームバーグニュース (@BloombergJapan) October 29, 2021
しかし上述したとおり、「株式譲渡所得の税率は30%が国際水準」という前提自体が間違っているので、そのあたりの見解を聞きたいところです。
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